切ないなぁ・・・親孝行
東京出張の新幹線の中で一気読み。後半部分では涙ぐんでベソをかいている自分がちょっと恥ずかしいやら可笑しいやら・・・。浅田次郎さんは罪な人ですね。
年老いた親が病気になったり、経済的にうまくいかなかったり、いやな人間関係があったり、自分の人生とラップするようなところがあったり。
そんな中で、曇りのち雨、いつのまにか晴。
ただ、全員が晴れるわけではない。
影を背負ってくれている人がいるから、それがわかるから染みてくる。
僕にもそろそろ80になろうとしている母が田舎でひとり住まいをしています。
母に対してやれることをやってはいるつもりですが、理想とはかけ離れているなとも感じます。
現実の世界ではやれることを精一杯やるしかないよね。
本当に精一杯してるの?って自分に疑問がわくときが多いですけど・・・。
主人公が夢の中で親父としゃべっている場面
良かった頃の俺は、おふくろのことなんてこれっぽっちも考えちゃいなかった。
たまに女房に小遣いを持たせて、様子を見に行かせた。誕生日とか、母の日とか。
立派なもんじゃないか。忙しかったんだから仕方ないさ。
忙しくなんか無かったよ。忙しいふりをしていただけさ。ただ---面倒だったんだ。
それでいい。親を面倒だと思うくらい自立していたんだ。おかあさんはよくわかってたはずだよ。毎朝仏壇に手を合わせて、こう言っていた。やっとみんな一人前になりました、ってな。それでいいんだ。子供に厄介になりたいなんて思わないよ、親は。
おふくろがどう考えていたかはいいよ。そうじゃなくって、どうして豊かだったころの俺はお袋のことを考えなくて、貧乏をしてにっちもさっちもいかなくなった今---。
それが貧乏のありがたさというやつさ。金で買えないものがあるってことを、貧乏人はよく知っている。