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yatohikoのブログ【酒と泪と男と???】

まあ日々の徒然ってことです・・・

人と人の絆が染みる

 

赤めだか  立川談春(扶桑社)

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今一番チケットが取れにくい噺家さんなのではないのでしょうか。
下町ロケットに出ていた殿村経理部長さんです。味のある演技をしていましたね。

 

番組での名言
社長、あなたは夢に愛されている。
だから!逃げちゃいけないっ。お願いだから、諦めないでください。
銀行員の端くれとして何百の会社を見てきた。佃製作所は良い会社です!

 

落語家の師弟関係というのはこんなにもすごいものなのかと感じさせてくれるエッセイです。8年ほど前に単行本になり、昨年末に文庫本で出版されたものです。どんどん引き込まれます。

 

吉本興業女マネージャーさんの話もえっ!うそっ!でしょって内容でしたが、落語家の方が歴史がある分だけ迫力があるのかな。ひとつひとつのエピソードに下げがある。
立川談志がすごいのはもちろん、立川談春もすごいのでしょう。

僕には他の一門、他の師弟関係は知るよしもないけれど。

 

16歳で立川談志の芝浜を聞いて、

”人生で受けた最初のショック。あれ以降の驚きは以後無いので最大とも言える。”


高校を辞めて入門するとき、ちょっと後悔しているかも感の自分(意識の上から見ているもう一人みたい)をおもしろおかしく表現して、さすが落語家だなと。
内容は修業時代のハチャメチャなドタバタ劇、僕たちから見ればとてつもない試練の数々です。

でもそんなドタバタ劇よりもジーンとくるのが、談志(談春の師匠)の師匠である小さんが会長をしている落語協会と喧嘩別れして、絶縁状態がつづいていても師弟の絆の深さを感じる。


談春
「小さん師匠」
「なんだい」
「実は今回の件で、談志が是非小さん師匠にお目にかかって、一言御礼を申し上げたいと云っております。」
花緑の顔色が変わった。部屋に緊張が走る。小さん師匠は、暫く考えた後で、おれ(談春)から視線をはずすと、ひとつため息をついてから云った。
「そんなことはしなくていい。あのな、談志は一家を構えて、たくさんの弟子をとって、独立して立派にやっている。今更おれのところに来なくてもいい。あいつは・・・・、今のままでいいんだ」
おれ(談春)も花緑も、黙ってうつむくしかなかった。
それぞれの思いがもつれていく・・・・。


小さん師匠は談春の高座で
「本日は談春の会で、当人、真打ちを目指して頑張っております。談春は・・・・」
ここでブレス。観客もおれ(談春)も前のめりになる。
「ししょう(談志)に惚れきっております」
一瞬の間の後で、
「もっとも弟子が師匠に惚れるのは当たり前なのですが・・・・」
と云うと、ちょっと困ったような表情をした。満場大爆笑、大拍手。


小さんの葬式に出なかった談志は
「葬式、つまり儀式を優先する生き方を是とする心情はおれ(談志)の中にはないんです。そんなことはどうでもいい。何故なら・・・・」
イエモト(談志)は、ちょっと胸を張って云った。
「おれ(談志)の心の中には、いつも小さんがいるからだ」

 

いいと思いませんか?